国際コーチ連盟が定める核となる能力水準

ここきょうはクライアントの望ましい成果につなげるため
国際コーチ連盟が定めているコーチング「コア・コンピテンシー」の遵守し
その実現を目指すとともに、知識・理論・実践を磨き続けます

ここきょうのコーチングについて

※国際コーチ連盟(ICF)とは、世界138カ国、31,490人(2019年9月現在)が会員として所属している、世界で最も大きなコーチングの団体です。
ICFの会員であること、またICFの資格保持者はプロフェッショナルなコーチとしての信頼に直結すると世界で認識されています。

コーチング「コア・コンピテンシー」
(ICF Core Competencies)

「コア・コンピテンシー」は4つの項目に分かれています。
各項目も優劣がなく全てが重要であり、
4つの項目は互いにつながり合っています。

A. 基盤を整える/Foundation

1.倫理に基づいた行動をしていることを示している

定義 : コーチングの倫理とコーチングとしてあるべき基準を理解し、常に適用している

  1. クライアント、スポンサー、および関連する利害関係者とのやり取りにおいて、個人の真摯さと誠実さを示している
  2. クライアントの自己認識、とりまく環境、経験、価値観、信念に慎重に配慮している
  3. クライアント、スポンサー、および関連する利害関係者に対して適切かつ敬意を表す言葉を使用している
  4. 国際コーチ連盟が定める倫理規定を順守し、コア・バリューを支持している
  5. 利害関係者との合意および関連する法律に合わせて、クライアント情報の守秘義務を守り続けている
  6. コーチング、コンサルティング、心理療法、その他の支援的職業とを区別し続けている
  7. 必要に応じて、クライアントに他の支援的職業の専門家を紹介している

2.コーチングマインドを体現している

定義:開放的で、好奇心を持ち、柔軟性があり、クライアントを中心に据えた、思考態度を開発し、維持している

  1. クライアント自身に選択の責任があることを認識している
  2. コーチとして継続的な学習と能力開発を行なっている
  3. 実践中のコーチングの振り返り能力を高めることで、自身のコーチングの質を高めている
  4. 常に自身と他者の状況や文化の影響を意識しつつも、それに捉われないでいる
  5. 自身の気づきとその場での直観を使ってクライアントに利益をもたらしている
  6. 感情を整える能力を開発し、維持している
  7. セッションに備え、精神的及び感情的な準備をしている
  8. 必要に応じて外部情報のサポートを求めている

B. 関係性をともに築く/Co-Creating the Relationship

3.合意の確立と維持

定義 : コーチングの関係、プロセス、計画的および目標に関して明確に合意するために、クライアントおよび関連する利害関係者と協力している. コーチング全体についての合意だけでなく、各コーチングセッションについても合意を確立している

  1. コーチングとは何で、何でないのかを説明し、クライアントと関連する利害関係者にプロセスを説明している
  2. コーチとクライアントとの関係性の中で、何が適切で何が適切でないか、何が提供され何が提供されないか、およびクライアントと関連する利害関係者の責任について合意に達している
  3. コーチング関係における指針および特有の要因、例えば、具体的な進め方、費用、スケジュール、期間、終了条件、守秘義務、その他関わる人などについて、合意に達している
  4. クライアントおよび関連する利害関係者と協力して、コーチング全体の計画と目標を設定している
  5. クライアントとコーチが共通認識を持つために、クライアントとパートナー関係を築いている
  6. セッションで達成したいことを特定または再確認するために、クライアントとパートナー関係を築いている
  7. クライアントとパートナー関係を築き、クライアントがセッションで達成したいことを実現するために、クライアント自身が対処や解決する必要があると信じていることは何かを見極めている
  8. クライアントとパートナー関係を築き、達成したい成功の尺度が、コーチング全体に対してか、あるいは、個々のセッションに対してかを、特定または再確認している
  9. クライアントとパートナー関係を築き、セッションのタイムマネジメントを行い、重要なことに焦点を当てている
  10. クライアントが表明しない限りは、クライアントが希望する成果に向かってコーチングを続けている
  11. 価値ある経験としてコーチング関係を終了するために、クライアントと協力し合っている

4.信頼と安全を育む

定義 : クライアントとパートナー関係を築き、クライアントが自由に話せる安全で支援的な環境を創り出している. 相互に尊重し信頼する関係を維持している

  1. クライアントの自己認識、とりまく環境、体験、価値観、信念を含みうる状況で、クライアントへの理解を深めようとしている
  2. クライアントの自己認識、物の捉え方、流儀、言葉遣いに敬意を示し、クライアントにコーチングを合わせている
  3. コーチングの過程で、クライアント独自の才能、洞察、努力を承認し、尊重している
  4. クライアントへの支援、共感、関心を示している
  5. クライアントが、感情、物の捉え方、関心、信念、懸念を表現することを承認し、支援している
  6. クライアントとの信頼を築くことができるように、自分の不完全さも見せるなどして、開放性と透明性を示している

5.今ここに在り続ける

定義: 開放的で柔軟で安定的で自信に溢れる態度を以って、クライアントに対して感覚をフルに開き、今ここに共に在り続けている

  1. クライアントに対して、集中しており、観察者であり、共感的で、反応良く対応し続けている
  2. コーチングの過程において、常に好奇心を示している
  3. クライアントとともに居続けるために、自身の感情を管理している
  4. コーチングの過程において、クライアントの強い感情と向き合うことへの自信を示している
  5. 知らないことに対しても、快適に対応している
  6. 沈黙、間、または振り返りのための余白を作り出し、許容している

C. 効果的なコミュニケーション/Communicating Effectively

6.積極的傾聴

定義 : クライアントの状況を理解して流れを読み取り、それまでのやりとりをすべて踏まえて、クライアントの自己表現を支援するために、クライアントが何を話し何を話していないかに集中している

  1. クライアントが何を伝えているかについての理解を深めるために、クライアントの状況、自己認識、とりまく環境、体験、価値観、信念を考慮している
  2. クライアントが伝えた内容を反復または要約することで、明確さと理解度を高めている
  3. クライアントが伝えている以上の何かがあることを認識し、問いかけている
  4. クライアントの感情、エネルギーの変化、非言語的な合図、またはその他の行動に気づき、認識し、 探索している
  5. クライアントの言葉、声のトーン、ボディランゲージからの情報を統合し、伝えられていること全体の意味を把握している
  6. クライアントのテーマやパターンを見定めるために、一連のセッションの中でクライアントの行動と感情の傾向に気づいている

7.気づきを引き起こす

定義 : 人を動かす質問、沈黙、比喩や類推などのツールやテクニックを用いて、クライアントの洞察と学習を促進している

  1. 何が最も有益であるかを決める際には、クライアントの体験を考慮している
  2. 気づきまたは洞察を引き起こすひとつの方法として、クライアントに挑戦を促している
  3. クライアントの考え方、価値観、ニーズ、欲求、信念について質問している
  4. クライアントが現在の思考を超えて探索していくことに役立つ質問をしている
  5. 今この瞬間に体験しているもっと多くのことについて話してもらえるように、クライアントをいざなっている
  6. クライアントの進歩を強化するために、何が機能しているかに気づけるようにしている
  7. クライアントのニーズに応じてコーチングのアプローチを調整している
  8. クライアントの現在および将来の行動、思考、感情のパターンに影響する要因の特定を助けている
  9. どのように前進できるか、あるいは何を望み何が可能かについて、自分からアイデアを生み出せるようクライアントをいざなっている
  10. 物の捉え方の枠組みを変えて、クライアントを支援している
  11. クライアントが新しい学びを生み出す可能性を持てるように、観察、洞察、感情を、それに固執することなく共有している

D. 学習と成長を育む/Cultivating Learning and Growth

8.クライアントの成長を促進する

定義 : 学びと洞察を行動に変容させるためにクライアントと協力し合っている. コーチングの過程の中で、クライアントの自律性を促進している

  1. 新しい気づき、洞察、あるいは学びをクライアントの持つ世界観と行動に統合するためクライアントと協働している
  2. 新しい学びを統合し、広げるような目標、行動、説明責任の尺度を創り上げるために、クライアントと協力し合っている
  3. 目標、行動、説明責任の方法を創り上げる中で、クライアントの自律性を承認し、支援している
  4. 様々な行動の中から得られそうな結果や学びを見極めることで、クライアントを支援している
  5. どうやって前進するのかを、使える情報、支援、障壁の可能性なども含めて、クライアントが考えるようにいざなっている
  6. セッション中やセッション間の学びや洞察を要約するために、クライアントと協力し合っている
  7. クライアントの成長と成功を祝福している
  8. クライアントと協力して、セッションを終了している

この日本語版『ICFコア・コンピテンシー更新版』は国際コーチング連盟日本支部翻訳チームによって翻訳されました。
ICF日本支部のウェブサイトhttps://icfjapan.com/competency から確認及びダウンロードできます。

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