岩本美恵子×関口詩乃【対談】行政書士・薬剤師とコーチングの仕事

一般社団法人コーチングコミュニケーション協会会長の岩本美恵子と理事長の関口詩乃による対談・インタビューです。
ふたりの第一印象や、協会設立の経緯、協会立ち上げに込めた思いなどを対談形式でまとめています。
私たちのことを知っていただくきっかけにしていただけたら幸いです。

行政書士がプロコーチを目指すきっかけとなった経営者からの辛辣な言葉

ーーコーチングを学ぶきっかけは何でしたか?

岩本美恵子 行政書士のクライアント様から「あなたには私の話が通じないようで残念だ」と言われたことがあり、その出来事がきっかけでコミュニケーションを学ぶことを決意しました。
行政書士を含め、どのような仕事をするにしてもコミュニケーションはつきものですものね。

ここだけの話ですが、「あなたには私の話が通じない」と初めて言われた時はお相手の話し方に非があるのだと言い返したい気持ちが少しだけ生まれました。しかし同じことを他の人からも言われていたので、自分自身のコミュニケーションを見直すきっかけとなりました。
コミュニケーションの癖は普通は気づかないですよね。直接言ってくれる人もいません。だからこそ、この時に私のコミュニケーションを指摘してくださったクライアント様には心から感謝しています。

自分自身のコミュニケーション改善のためにはじめたコーチングでしたが、経営者様、会社様のためにコーチングやコミュニケーションの技術を使いたいと思うようになりました。それは、行政書士の仕事を通じて出会う経営者様で、コミュニケーションを変えたいと考えている方が多かったからです。
会社経営に行政書士として携わらせていただく中で、コミュニケーションが不要な現場がないことを改めて感じています。

会社様の中には、仕事は背中で見て覚えるもの、気合いで乗り越えるもの、自分自身で読み取るものだとお考えの方も多く、話すことよりも労働で示すことを優先されている場合も多いようです。そのやり方も1つですが、コミュニケーションを見直すことでより業務の質が上がったり、危険が回避できたりすることも知っていただきたいです。

行政書士は書類作成を通じてクライアント様を支援します。クライアント様が安心して仕事ができる、ご自分の仕事に専念できるためのサポートです。
そして、会社を経営する上でコミュニケーションは必要なので、その点でも力になりたいです。コミュニケーションを通じて、経営者様の思いを聞いたり、経営者様が社員の方たちとやり取りに行き詰まった際にアドバイスをしたり、という面でもサポートをしていきたいです。

薬剤師とコーチングを繋いだ社員研修と先輩からの叱責

関口詩乃 私の中ではジョブチェンジしている認識はないんです。
私はずっと薬の情報を伝える人です。副作用、効果、お医者さん、製薬会社の社員研修、患者さんなど、情報の内容や伝える相手は違えど、薬の情報を伝える人でした。そして、この薬剤師という仕事を通じて、正しい情報を伝えるだけでは救えない領域があることを憂いてもいました。正しい情報を伝えるだけでは足りないからです。相手が何を考えているのか、相手が何を欲しがっているのか、相手にとってどうして必要なのか、、、相手と理解し合わないといけないのです。

そのような思いを抱えている時に、会社でコーチング研修を受ける機会が訪れました。研修を受けたときに、私が無自覚で行っていた行動に名前がつきました。「これは傾聴」「これは質問」というふうに、私がしていた行動に名前がついたのです。さらに、その行動が「スキル」なのだと認識もできました。スキルだから学ぶことができて、そのスキルを上達することもできると思えました。そして、そのスキルを自分の強みにできる!と確信が持てました。

プロフェッショナルなコーチを目指したきっかけは、研修でサポートをされていた方から「本格的にコーチングを勉強してプロフェッショナルなコーチになりませんか?」とすすめていただいた言葉が心に残っていたからです。研修から3年後に、その方にお会いする機会があり、なぜ私にすすめて下さったのかをお聞きしたら「分からないけど向いていると思いました」と言われました。コーチの直感で何かを感じて下さったのかもしれませんね。

人生を変えることとなった会社でのコーチング研修を受ける少し前、実は、薬の情報が役立たないことを実感する体験をしました。体験の話は割愛させていただきますが、その体験で「薬の情報、正しい情報は役に立たない」と感じざるを得ませんでした。それは、正しい情報を知ったとしても、不安が解消されるわけではなかったからです。

自分の体験から、正しいことを知ったとしても患者さんは救えないのだと痛感し、薬剤師の仕事に対して、自暴自棄に陥りました。ところが、そのことを薬剤師の先輩からひどく叱られました。その時の言葉は今も忘れません。

”情報を得て、その情報を理解して、そこから判断ができる。その上で、あなたがそう思うのは自由。けれど、その情報を知らなければもっと不安だと思わないのか?プロの薬剤師として相手が分かるように情報を伝えること、その情報をどう判断するのかを一緒に考えることを放棄してはいけない。そして、それを放棄するのなら薬剤師を辞めなさい。役に立たないのは情報ではなくてあなたのほうだ。”

先輩から叱られたことで、薬の情報、正しい情報をただ伝えるだけではなくて、相手がどう思うかを支える薬剤師になろうと誓いました。その誓いを実現するためにコーチングやコミュニケーションを習得したいと思いました。

プロコーチを目指したのではなくコーチングを提供していたら自然と「プロ」になった

ーー行政書士や薬剤師の仕事をされながらコーチングも仕事にしているのはなぜですか?

岩本美恵子 プロのコーチになることに抵抗がありませんでした。コーチングやコミュニケーションを提供して対価をいただくことは自然な流れだと感じています。社会の仕組み上、無料というわけにはいかないですから、対価はいただくだけのことです。そして、対価をいただくことがプロコーチと定義づけられているだけのことです

関口詩乃 私は学び続けていく中で、私のコーチングを必要としてくれる方と出会い、自然とプロになっていました。対価をいただくことで良い距離感、適切な関係性を築くこともできますので、相手を、相手との関係を大切にするために対価をきちんといただいています。

それから、岩本コーチも私も、コーチングはいいものだ、役立つものだと心から思っていますが、コーチングが絶対だとは思っていませんね。

岩本美恵子 そうですね、コーチングを押し付けるつもりはありませんからね。コーチングをどう受け取るかということも相手を尊重しています。だから、コーチングを受けたい方が私のコーチングを受けてくれる必要もないと思っていますので、いつでも私の周りの素晴らしいプロコーチをご紹介いたします。その上で、私や関口コーチを選んでくださる方には全力でお力になりたいと考えております。

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